アデノイドとは、喉の周辺にあるリンパ組織のひとつで、咽頭扁桃と呼ばれます。
口蓋垂(のどちんこ)の裏側にあります。口を開けても見ることはできません。
幼児期、3~5歳頃に最大となり、10歳くらいで退縮する傾向があります。
咽頭扁桃が生理的肥大により大きくなったり、感染症によりアデノイドが大きくなり、
上咽頭の通気性不良、中耳の慢性炎症が生じることがあります。アデノイド増殖症と
呼ばれます。
鼻づまり、鼻で呼吸することが困難なので、口呼吸が多くなります。夜間のイビキ、
無呼吸の症状、慢性鼻炎・副鼻腔炎が起きます。アデノイドが耳管開口部を塞ぐと
滲出性中耳炎が合併し、慢性化すると難聴になる場合があります。
鼻呼吸が難しいので、顎顔面形態と歯列に影響し、アデノイド顔貌という顔つきに
なることもあります。睡眠時無呼吸症候群が合併すると、漏斗胸、胸郭の変形が
生じる小児もいます。眠りの質が低下し、昼間の眠気、集中力低下が生じます。
アデノイド肥大の診断は、耳鼻咽喉科の病院で、内視鏡・レントゲン検査が行われ、
患部の大きさ、拡がりなどを調べます。夜間の呼吸状態、眠りの質を評価するため、
終夜睡眠ポリグラフ検査を受けることが大切で、治療管理のためのデータとなります。
問題となっている症状、耳鼻咽喉科での診察、睡眠検査の結果を総合して手術による
治療が妥当か検討します。アデノイドは10歳を過ぎると退縮する傾向がありますが、
実際には、小さくならず各種の症状、合併症が続く場合もあります。
そのため、睡眠中の低酸素血症が重篤である、眠りの質が低下して、成長と発達が
遅れている、陥没呼吸、漏斗胸、胸の変形が認められる、その他、滲出性中耳炎を
繰り返すなどの症状があれば、アデノイド切除術・手術治療が必要となります。
アデノイド増殖症は、重要な子どもが成長する時期に起きるので、耳鼻科、睡眠科の
両面で評価を受けて、適切に治療管理を行うことが大切です。