「おねしょ」は幼児期に多いですが、4~5歳になると膀胱機能が安定するので、
8割の子供は「おねしょ」をしなくなります。一方、5歳以降になっても、
夜眠っているときに無意識に排尿してしまう状態を夜尿症と呼びます。
夜間の尿量が多い、膀胱容量が小さい、膀胱・腎臓の病気を合併している、
その他、睡眠時無呼吸症候群、精神ストレスなども夜尿症に関与しています。
食事関連では水分摂取過多と利尿を促すカフェイン摂取も夜尿に関係します。
子どもの閉塞性睡眠時無呼吸の症状として、夜尿があります。無呼吸にともなう
胸腔内圧の変動、静脈還流の増大により、心筋が伸展しナトリウム利尿ペプチドが
放出されます。その結果、夜間の尿生成が増加し、夜尿の症状が問題となります。
小児の睡眠時無呼吸症候群の原因として、アデノイド増殖症、扁桃腺肥大が多く、
夜間のいびき、無呼吸の症状のほかに、おねしょが治らない児童もいます。
耳鼻科の病院で、アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術を受けて、夜尿症が
軽快する場合も少なくありません。
思春期に入って肥満があり、重症の睡眠時無呼吸に合併した夜尿症の場合、
CPAP治療によって、おねしょが改善することもあります。
岐阜市にある阪野クリニックの院長が夜尿とSASについて解説動画を作成しました。
小児科、泌尿器科で、夜尿の原因を精査することが必要となります。尿崩症、
糖尿病、腎奇形などの除外、膀胱機能障害を引き起こす尿路感染症や脊髄疾患の
有無を調べます。尿検査および血液検査などが行われます。
その他、てんかん、睡眠時無呼吸症候群なども夜尿症の原因となるので、
小児科、睡眠科で必要に応じて終夜睡眠ポリグラフ検査を検討します。
夜尿症があり、激しいイビキと無呼吸、アデノイド・扁桃腺肥大があれば、
最寄の睡眠外来への治療相談を検討しましょう。
治療は小児科での生活指導、そして、水分制限と抗利尿ホルモン薬などが
用いられます。抗うつ薬、抗コリン薬を活用することもあります。