小児科、耳鼻科の外来で喉が腫れていると言われることがあります。口蓋垂の両側に
ある、口蓋扁桃が腫脹・発赤している状態を指し、扁桃腺が大きいなどと表現される
ことがあります。医学用語では、口蓋扁桃のことを示しています。
この口蓋扁桃は、喉の奥にある咽頭扁桃・アデノイドと同じく、3~6歳にかけて、
生理的に大きくなり、思春期頃には退縮する経過をとります。病的に肥大して、
呼吸、睡眠、嚥下などに悪影響が出ると治療が必要となります。
扁桃腺は自然に退縮する場合がほとんどですが、成人で扁桃肥大が残存すると、
いびき・睡眠時無呼吸の症状が問題となります。
口蓋扁桃肥大による症状は、中咽頭の気道狭窄による呼吸障害、夜間のいびき、
無呼吸です。これらは、夜間の低酸素血症が生じ、眠りの質が悪くなります。
その結果、成長と発達遅延の危険が高くなります。
その他、食事とき、食べ物を飲み込みにくい症状が現れることがあります。
繰り返し高熱を出す慢性扁桃炎を呈する小児もいます。
耳鼻科の診察を受けて、扁桃肥大が生理的に退縮する10歳頃まで様子を見ましょうと
判断される場合があります。身体による影響がない状況であれば問題ありませんが、
以下の場合は、耳鼻科手術・扁桃肥大切除術の適応を考えます。
睡眠時無呼吸症候群の病状が重い場合、低酸素血症が著明で、睡眠の質が低下し、
昼間の眠気、多動、成長発達の遅延、漏斗胸および陥没呼吸が問題となっている。
1年に4回以上、高熱を繰り返す口蓋扁桃炎があるとき、扁桃腺の場所とは別に、
腎臓、皮膚の炎症、リウマチ熱を引き起こす場合(口蓋扁桃の病巣感染)。
小児科、耳鼻科などで、扁桃腺の大きさ、問題となっている症状、合併症について、
検査と診察を受けて、病状の程度が評価されます。夜間の呼吸と睡眠の状態は、
子どもの睡眠呼吸障害を対象にしている病院で、睡眠検査を受けると良いでしょう。
終夜睡眠ポリグラフ検査を施行して、睡眠科の観点から眠りの質、安定性、
呼吸状態、寝相など多方面から睡眠時無呼吸症候群を調べることが可能です。
検査結果は、耳鼻科で手術を受けるかどうかの大切な資料となります。