子どものいびき専門外来では、扁桃腺が腫れている状態で、手術を受けるか
迷っている、全身麻酔なので躊躇しているという、手術を受けるべき根拠は
どうかなど、相談をよく受けています。
このページでは、扁桃肥大の耳鼻科手術の一般的な適応を解説します。
口蓋扁桃肥大およびアデノイド肥大があるときに、どんな場合に手術を考えるか
状況ごとに説明していきます。
1年に3~4回以上、慢性扁桃炎の急性増悪のため、喉の痛み、高熱、頭痛が
生じて、幼稚園、学校、仕事にも行けないくらい病状が重くなる場合です。
扁桃周囲に炎症が波及して膿瘍を生じることもあります(扁桃周囲炎・扁桃膿瘍)。
この場合、口蓋扁桃摘出術の適応があります。
慢性扁桃炎が放置されると、扁桃とは別の臓器、腎臓、心臓、皮膚に病気が
発症することがあります。具体的な病気として、IgA腎症、心筋症、掌蹠膿疱症、
関節リウマチなどが知られています。
口蓋扁桃で生成された免疫複合体が血液に乗って、扁桃線から離れた臓器、組織に
到達して炎症を引き起こすものです。扁桃病巣感染症と呼ばれています。
この場合、根本的には扁桃の手術を行うと症状が改善します。
口蓋垂の奥にあるアデノイド肥大が原因で、滲出性中耳炎が繰り返し生じる場合が
あります。小児において聴力低下を引き起こすので、鼓膜換気チューブ留置術と
アデノイド切除術を、耳鼻科の病院で検討します。
口蓋扁桃、アデノイドが病的に肥大すると、上気道が狭くなり日中および睡眠中の
呼吸が障害されます、子どものアデノイド肥大の特徴として口呼吸があります。
また、眠っているときの危険なサインとして「大きないびき」が知られています。
手術を受けるか迷っている、躊躇している保護者の声をよく外来で聞きます。
睡眠専門医の観点からは、ビデオカメラ同期の終夜睡眠ポリグラフ検査の結果、
および臨床症状を総合して、耳鼻咽喉科の手術が適切かどうかを判定します。
以下の場合、手術を検討する必要があります。
1)重度の低酸素血症、無呼吸低呼吸指数(AHI)が高値
2)陥没呼吸、胸郭と腹部のシーソー呼吸、漏斗胸、胸郭変形
3)眠気、多動が問題となっている
4)学習障害(学業に支障がでている)
5)成長障害、低身長、体重が増えない
アデノイドと口蓋扁桃の両者が腫れている場合は、手術によって同時に切除、
および摘出を行います。adenotonsillectomyと呼ばれています。